愛知・名古屋のホテルランキングです。東洋経済が2014年3月、読者投票によって選出しました。東海・中部地方で評価や人気の高いホテルの順位になります。「プチぜいたく部門」の1位は断トツで名古屋マリオット。全国でも最多の票を集めました。「コスパ部門トップ」は、ロイヤルパークホテル・ザ・名古屋です。(戸川利郎)
順位 | ホテル名 | 価格 |
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1 | 「ロイヤルパークホテル ザ 名古屋」 名古屋駅徒歩5分 |
7500円 |
2 | 「名古屋ビーズホテル」 地下鉄伏見駅徒歩5分 |
6000円 |
3 | 「名古屋クラウンホテル」 地下鉄伏見駅徒歩5分 |
4300円 |
順位 | ホテル名 | 価格 |
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1 | 「名古屋マリオネットアソシアホテル」 名古屋駅すぐ |
1万9000円 |
2 | 「名古屋観光ホテル」 地下鉄伏見駅徒歩2分 |
7500円 |
3 | 「名古屋東急ホテル」 地下鉄栄駅徒歩5分 |
7000円 |
4 | 「ザ サイプレス メルキュール ホテル名古屋」 名古屋駅徒歩4分 |
9900円 |
地元経済を支えるトヨタ自動車の業績回復、訪日外国人の増加──。そんな追い風に乗り、三重県や愛知県・名古屋など中部・東海地方のホテルが元気だ。2013年、名古屋市内16ホテルの客室稼働率は前年比4・7ポイント増の82・3%に達した。
名古屋で独り勝ちのホテルがある。JR名古屋駅に直結するツインタワー、JRセントラルタワーズに入居する名古屋マリオットアソシアホテルだ。13年の客室稼働率は同2・5ポイント増の87・8%。アンケートでも、名古屋では断トツ、全国でも最多の18票を集めた。「駅から近いのに落ち着ける空間」(山岡薫氏)なことが好評価につながっている。
顧客の支持が高い理由について、太田範義総支配人は「最高の立地に、非常にいい器が立っている」ことを挙げる。キャピトル東急ホテル(現ザ・キャピトルホテル東急)などで支配人を務め、2012年から現職の太田氏は、このホテルに来て、ぜいたくな造りにまず驚いたという。最も小さな部屋でも28・5平方メートルとゆとりのある設計。床の大理石や壁材も、上質なものを使っている。ホテルの看板は「マリオット」だが、太田総支配人は「グループの最高級ホテルである『JWマリオット』に匹敵する」と言う。
現在はその強みにさらに磨きをかける。社員4人から成る「特掃(とくそう)チーム」を結成。1日2部屋ずつ、1年半程度をかけ全部屋を清掃する特別チームだ。壁を特殊洗剤で磨き、ドアノブを外して調整し直すなど、清掃というより修繕に近い。客室はホテルにとって商品であり、それを最善の状態に保つことが、顧客の支持につながる。
オーナーとの“いい関係”もプラスに働いている。ツインタワーの管理会社、ホテル運営会社とも、JR東海の100%子会社。もちろん、ホテル側は適正な家賃を支払うが、過度な収益プレッシャーがない。「利益ではなく、質を落とさないことが最優先」(太田総支配人)。
ホテルの正社員は約600人と、同規模ホテルに比べ2割程度多い。こうした一定のゆとりが、サービス強化に結びついている。
JR東海はツインタワーの隣接地に新ビルを建設中で、2017年春には約350室のホテルをオープンさせる。その「名古屋JRゲートタワーホテル」は別ブランドとして、名古屋マリオットアソシアの運営会社が手掛ける。今後は新ホテルとの差別化を意識しながら、客室のリニューアルを本格化させる方針だ。
2014年度、ホテルは開業15周年を迎える。「人間でいえばようやく成人になったぐらい。もっと顧客層を厚くしたい」(太田総支配人)。階層別教育制度の導入などでサービス力を高め、2割程度のリピーター率を4割へ引き上げる目標を掲げる。
コスパ部門のトップはロイヤルパークホテル・ザ・名古屋。三菱地所系のロイヤルパークホテルが2011年から手掛ける、宿泊特化型ホテルだ。コンセプトは「コンパクトシティホテル」。シティホテルの宿泊のいいところを、コンパクトに展開する。部屋は通常より広めで、スイートやコンセプトルームも備える。
名古屋はその4軒目となる。2013年11月の開業から客室稼働率は9割超。名古屋駅から徒歩5分の利便性に加え、「駅周辺のホテルで唯一大浴場を持つことも大きなセールスポイント」(鈴木將勝総支配人)だ。
平日は男性ビジネスマンが多いが、休日は女性客が目立つ。居酒屋「伍味酉(ごみとり)」とコラボして名古屋めしを提供するなど、地元の特性を生かした宿泊プランも人気だ。
これまで名古屋は新規開業が少なく、「ホテル不毛地帯」といわれてきた。が、ロイヤルパークに続き、数年内に三井ガーデンホテルが出店を計画するなど、競争環境は徐々に厳しくなりそうだ。鈴木総支配人は「それまでに名古屋でブランドを確立したい」と、気を引き締めている。
2008年4月21日
4月からフレックスホテル(松阪市)が新しい指定管理者となった三重県大紀町大内山の滞在型宿泊施設「グリーンパーク大内山森の家」で2008年4月19、20の両日、内覧会が開かれた。開業は23日。
今後は「大人の空間」をテーマに、50~60代の平日の泊まり客や宴会客を増やす。
施設の装いを一部変更。従来の呼び物だった牛乳風呂は通常の露天風呂に変え、ロビーを広げた。宿泊客らには新たに、松阪肉として知られる地元の七保牛を使った料理を出す。
同施設は1995年に開業。別の指定管理者が入っていたが、経営の伸び悩みなどを理由に指定管理期間の終了前に撤退していた。
2009年11月14日
三重県大紀町大内山の滞在型観光施設「グリーンパーク大内山 森の家」が2009年11月、一時中断していた日帰り風呂を週末と祝日限定で再開した。町内にわく温泉の湯を運び、「奥伊勢温泉大紀の湯」と称して売り出している。
現在の管理運営は指定管理者「フレックスホテル」(松阪市)が担当している。同施設は以前、地元産の牛乳を使った「牛乳風呂」を目玉にしていたが、手間や衛生面から2007年末から提供を取りやめていた。
日帰り風呂の再開に当たり、同町阿曽の源泉「阿曽温泉湯田沖」から湯を毎日運び、加水、加温して提供。牛乳は入れない。リウマチや神経痛などに効能があるといい、支配人(51歳)は「温まって肌もすべすべになりますよ」とPRする。
日帰り風呂は男女別の露天風呂で楽しめる。営業は土日、祝日の午前11時~午後3時。料金は大人600円、3歳以上小学生以下と70歳以上は400円。
2001年12月
JRセントラルタワーズの中に、名古屋マリオットアソシアホテルが開業して、一年半が過ぎた。長らく無風状態が続いた名古屋のホテル業界は、マリオットという「黒船」の到来で、一転、激戦区に変ぼうした。「名古屋ホテル戦争」の舞台裏をのぞいた。 午前九時二十五分。名古屋観光ホテルの宿泊客が、玄関前で空港行きバスに乗り込んだ。
「重い荷物を持って、駅まで移動する手間が省けて助かります」。松山に向かうという男性会社員(30)は言った。バスは五分前に、ヒルトン名古屋を出発したばかり。ホテルを巡回して客を拾い、名古屋空港へと向かうのだ。 中区の四つのホテルが、空港バスの共同運行を始めたのは今年五月。交通の便の良さで圧倒的優位に立つライバル、マリオットに対抗するため、手を結んだ。
マリオットは、業界の勢力図を大きく塗り替えた。開業前年の1999年、センチュリーハイアット名古屋と名古屋都ホテルが閉鎖を決めた。もともと赤字や老朽化に苦しんでいたが、強力なライバルの登場に、存続を断念した。都ホテルを経営する近鉄ホテルシステムズは「マリオット進出は、閉鎖を決める一因となった」と認める。
残ったホテルも大波をかぶった。婚礼部門で、件数、収益とも首位だった名古屋東急ホテルは、二位に転落。ナゴヤキャッスルは、食堂部門の売り上げが約一割減少した。ヒルトン名古屋も「ある程度の数はマリオットに流れた」と、影響を否定しない。
マリオットの初年度売上高は、目標を46%上回る161億円に達し、地域トップに躍り出た。東海地方最大の客室数(780室)と、名古屋駅の真上という立地。さらには、「マリオットのブランドと、運営ノウハウをそのまま持ち込んだことが大きい」と、総支配人は語る。
ライバルたちは巻き返しに必死だ。 ナゴヤキャッスルは、米国のホテルチェーン、ウェスティンと提携した。名古屋以外での知名度不足を克服するため、悩んだ末の選択だったが、ネットワークを通じて予約が入るようになり、50%近くに落ち込んでいた客室稼働率は、70-80%まで向上した。上海に事務所を開設し、日本への団体観光旅行が解禁された中国人旅行客の呼び込みにも力を入れている。
名古屋東急も二つの国際的予約ネットワークに加盟した。マリオットに対抗するため内部を改装し、上客向けのフロアを新設した。環境管理の国際規格ISO14001も取得し、ライバルとの差別化を図る。 名古屋観光ホテルは、マリオットと同じJRグループのホテルから、人材を引き抜いた。オークラなど十二のホテルを渡り歩いた総支配人は、マリオットの総支配人とも一緒に仕事をしたことがある間柄。手の内を知り尽くした「プロ」の起用で、ホテル戦争を勝ち抜く作戦だ。
名古屋観光ホテルの総支配人は「マリオットの進出で、今は打撃の方が大きいが、危機意識が高まった結果、サービス水準は上がっている」と、業界の現状を分析する。 ヒルトン名古屋の広報支配人も「マリオットの参入は、新しいホテルの楽しみ方を広めた。われわれのチャンスも広がった」と肯定的に受け止める。 実際、両ホテルの評判は良好だ。
万博、中部空港の開港などを控え、名古屋地区は、人の出入りの活発化が見込まれる。ホテル間競争が激化するのは必至だ。 「マリオットの進出は、内向きだった名古屋のホテル業界に、国際性をもたらした。しかし、国際基準での競争は、まだ始まったばかり。人の出会いの場を演出するというホテルのソフト面での知恵比べが、今後、世界中からの客に評価されることになるだろう」と、立教大観光学部長は指摘する。戦いを勝ち抜き、五年先、十年先に、勝ち組に名を連ねているのはどのホテルだろうか。
2014年3月
名古屋観光ホテル(名古屋市)は、名古屋市中区の神社「若宮八幡社」の境内にあり、披露宴などに使う施設の運営を2015年春から請け負うと発表した。
ホテルが持つもてなしのノウハウと、神社の伝統と格式を持ち寄り、結婚式ビジネスでの競争力を高める狙いだ。
この施設は若宮八幡社が建て替えを決めており、15年春完成の予定。新施設は2階建ての洋風建築となり、カフェを併設する。名称も「名古屋観光ホテル 若宮の杜(もり) 迎賓館」とし、披露宴などで同ホテルの料理を提供する。
同ホテルは11年から結婚式を若宮八幡社で、披露宴をホテルでするプランを導入するなど、神前の結婚式に力を入れている。年間約300組の結婚式のうち、ここ3年で神前式が占める割合が約20%から約35%に上がっており、神社の境内にある施設を使うことで「本格志向のカップルをひきつけたい」(営業統括部)という。